明日から9月。
陽が沈んだ後、幾分か涼しさを感じる頃に、秋を告げる「虫たちの声」が。
この季節になると、朝は小鳥たちの円舞曲、昼は蝉たちの協奏曲、夜は虫たちの夜想曲。
「人間界の鬱陶しさ」を、束の間でも忘れさせてくれる「生き物の讃歌」に耳を傾けて。
日本人の「虫を愛でる文化」は、万葉の昔から続いて。
平安時代の枕草子には、「鈴虫、松虫、キリギリス、はたおり」の四種が、好ましい虫と。
源氏物語には、「鈴虫」の声を愛でながら、酒宴に興じる一節が。
「虫の声」を左脳で聴く「日本人ならでは」の感性かも。
松虫はチンチロリン、鈴虫はリインリン、こおろぎはキリキリキリ、うまおいはスイッチョン。
単なる「ノイズ」として聞き流すか、小さな「生命のメッセージ」として感じ取るかは、人それぞれ。
清少納言は、「何もかも、小さきものは、みなうつくし」と。
そうなんです。
季節、季節が奏でる「自然の音色」は、人の「乾いた心」を潤してくれる贈り物のように。