「ツゥピツゥピツゥピ」と、ひときわよく通る鳴き声が。あれはシジュウカラ(四十雀)。
スズメより少し小柄な鳥なのに、遠くからでも聞こえてくる甲高い声量の持ち主。
山の森林を住処とする鳥が、この頃は都市部に移り住んで、身近な存在に。
昨年放映された「ダーウィンが来た」によれば、シジュウカラには、鳴き声による「意思伝達の能力」があると。
京都大学の鈴木俊貴博士は、「シジュウカラは、異なる意味を持つ鳴き声(単語)を、文法に従って組み合わせ、文章を作ることが知られているヒト以外で唯一の動物」との研究レポートを。
例えば、「ピーツピ」は「警戒しろ」、「ジャージャー」は「蛇が来た」、「ヒーヒー」は「鷹が来た」、「ヂヂヂヂ」は「集まれ」等々。
分かっているだけで、何と20以上の単語で、175以上の組み合わせた文章があるそうな。
これまで何気なく聞いていた鳴き声が、「仲間へのメッセージ」と考えたら、バードウォッチングの楽しみも増して。
芭蕉の俳句に、「老いの名も ありとも知らで 四十雀」が。
自分に四十という「初老の名前」が付いていることも知らないで、暢気なものだとの解釈も。
そうではなくて、齢49になった芭蕉自身が、「学ぶには、もう残された時間がない」と詠嘆する気持をシジュウカラに託したとも。
ちなみに、ゴジュウカラ(五十雀)は実在する鳥の名前で。
高齢化社会の昨今なら、第二の人生は「六十カラ」、「七十カラ」と名付けられる新種が出てくるのかも。