人生シニア世代になると、いわゆる「主要5科目」は、ほとんど不要かも。
漢字や熟語は、スマホやパソコンにお任せで。
お釣りや割り勘の計算ができれば、微分積分など忘れても。
文法を無視しても、知ってる英単語を並べれば、意思は通じて。
理科と社会は、普段の暮らしの常識程度で十分だし。
齢を重ねると、実生活の役に立つ科目は、「技術・家庭」や「美術・音楽」、「倫理・道徳」、「保健・体育」と実感。
最近のベストセラー「13歳からのアート思考」(著者は現役美術教師の末永幸歩さん)に、こんな話が。
小学校の「図工」に較べ、中学校の「美術」になると人気急落とか。
自分が感じたまま作る「図画や工作」の時間は楽しかったけど、「美術」になると上手/下手を採点されたり、絵や画家の名前を暗記させられたりでウンザリ。
大原美術館での印象的なエピソードも紹介されて。
「モネの睡蓮」を見ていた4歳の男の子が発した言葉。それは「カエルがいる」。
そこに居合わせた学芸員が、「えっ!どこにいるの?」と尋ねたら。
その答えは、「いま、水にもぐってる」。
う〜ん。そんな風に見えるのか!
末永さんの弁。男の子は「自分だけのものの見方」をして、「自分なりの答え」を見つけ出している。
「すべての子供はアーティストだ。問題なのは、どうすれば大人になった時にアーティストのままでいられるかだ」(パブロ・ピカソ)。
突然の自然災害や未知の病原菌、激動する複雑な現実社会の中で、誰も「確実な未来」など見通すことができない時代。
創造的に生きるために、「自分だけのカエル」を見つけ出す力が求められているのかも。
末永さんの言う「アート思考」とは、①「自分だけのものの見方」で世界を見つめ、②「自分なりの答え」を見つけ、③それによって「新たな問い」を生み出していく考え方のプロセス。
ちなみに、この本との出会いは、私の木版画にもインパクトをもたらして。
年初来、制作途上にあった「青鷺シリーズ一作目」をお蔵入りさせて、一から新たに作り直すことに。
リニューアル作品を通じて、「自分だけのカエル」が見つかるといいのですが。