こんな時、僕たちの世代が思い浮かべるフレーズは、”雨がしとしと日曜日”。
60年代ポップスのヒット曲「モナリザの微笑」(ザ・タイガース)の歌詞です。
主役は勿論、ジュリー(沢田研二)ですが、それもサリー(岸部一徳)という名脇役の存在があってこそ。
彼は古希を迎えて一層、独特のキャラに磨きがかかり、「ドクターX」では、オネイ言葉のオカマ味やお茶目なスキップ姿で。
「相棒」の官房長役では、杉下右京にこんなセリフを。
「正義の定義なんて、立ち位置で変わるもんでしょ。まさか絶対的な正義が、この世にあるなんて思ってる?」
ニヒルで怪しげな悪党だろうが、飄々とした間抜け役だろうが、何でもござれ。
彼の持ち味は、能面の如く「無表情な顔」にあるとの説が。
ご本人は、「正体不明でいたほうがいいので。いろんな人の日常にすっと入っていけますから」との弁。
ギリシア劇に登場する役者用の「仮面=ペルソナ」に繋がるようにも。
ユング心理学では、人は周囲に適応するため「ペルソナ」を着けて生活するが、真の中身には異なった「内的側面」があると。
そう言えば、ラグビー日本代表にも「笑顔なき仮面」を被った男が。
過酷な戦場での喜怒哀楽を抑え込むために、稲垣選手には笑みを消し去った「無表情のペルソナ」が相応しかったようで。
然れば、「千と千尋の神隠し」に出てくる「カオナシ」とは?
宮崎駿監督は、「自分の居場所を求めて彷徨い続けるカオナシ。それは誰の心の中にもいる」と。
実は「カオナシのモデル」は、組織に染まり、自分を見失なってしまった会社員とのこと。
う〜ん、確かに。勤め人だった頃の自分も「カオナシ」だったのかも。
今、「我れのペルソナは?」と自問自答すれば。
家庭の父親、企業経営の助言者、木版画の作家の三つの仮面を、場面に応じて着け変えているのかな?
ペルソナには、人の内面に及ぼす作用があるので、それが「相剋」なのか、「調和」なのかの問題で。
そんなことに思いを巡らせた”雨がしとしと日曜日”でした。