青空の朝、我が家の庭先で、犬の散歩中の方から「この綺麗な白い花は何という名前ですか?」と聞かれて。
「利休梅(リキュウバイ)と言い、千利休にちなんだ花のようです」とお答えしました。
豊臣秀吉の逆鱗に触れて切腹した利休の命日は、天正19年(1591年)2月28日(旧暦)。
京都大徳寺の「利休忌」では、新暦の今日3月27日から、千利休を偲ぶ茶会が営まれます。
丁度、この時期に合わせたように咲くことから名付けられたとのこと。
確かに、清楚な白の「控えめな美しさ」は、茶席に似合いそうです。
加えて、樹下を彩る黄色い花との組み合わせが、ナイスなコントラストを。
利休と言えば、「侘び茶」の完成者。
「侘び」とは元来、「思う通りにならない状況を悲しみ、思い煩うこと」でしたが、むしろそれを肯定的に受けとめて、「不足や簡素から生まれる美しさ」の意味に。
対句の「寂び」は、時間の経過とともに朽ちて行く様相の「はかなくも古びた味わいの美しさ」を表して。
両者が溶け合って生まれた「侘び寂び」という言葉は、日本人の美的感覚そのもの。
自然界のあらゆる事物は、常に「未完成」や「不十分」であるとして、それを「あるがままに受け入れよう」という価値観。
昨今、「侘び寂び」が英語でも使われるようで、「Wabi and Sabi」とも。
ふと、あのビートルズの名曲「Let it be」に重なるように思えて。
悩み尽きず心が折れそうな時、立ち現れた女神が囁いた言葉は、「あるがままを受け入れて、素直に生きればいいの」。
しかり!!!
頑張るだけ頑張った後は「自然の成り行き」に委ねるしかないから。
騒然とした世の中、落ち着かない日々が続きますが、「利休梅の白い花」を眺めて、そんなことを思い起こした一日でした。