待ちに待ったノーベル化学賞受賞の吉野彰さん、おめでとうございます。
旭化成時代、愛煙家の吉野さんとは喫煙スペースで時折ご一緒し、他愛もない雑談をさせてもらいました。
彼の言葉に「ムダなことを沢山しないと新しいことは生まれてこない」と。
科学の世界だけではなく、アートの世界でも同じようです。
直感を信じて仮説を立て、試行錯誤を繰り返しながら「Something new」を探し出すプロセスは一緒。
私の木版画作りにおいても毎回、ムダに終わるかも知れない「新しい試み」を続けています。
制作中の「Kingfisher in Autumn」では、「彫り進み法」に挑戦。
一枚の版木を使って、彫りと摺りを順次繰り返す技法です。
メリットは、別々に彫れば複数枚が必要な所を一枚に省け、さらには同じ版木なので図柄にズレが生じないこと。
デメリットは、彫り進んでしまうため、元の版木に後戻りできないこと。
今回は富士山とハナミズキの枝と二ヶ所で試みました。
アップした写真は、富士山の雪渓を「三段階の濃淡」で表現したものです。
樹木の枝では、微妙な「光の陰影」にトライしてみます。
明日土曜日は、台風19号が関東を直撃。被害が少なく無事に通り過ぎますように。