生命力が宿る作品

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原画を描き、版木を彫り、和紙に摺る工程を経て、木版画は出来上がります。

一方向に進む直線的な流れ作業のようですが、実際には「行きつ戻りつ」の繰り返して。

作品を摺りながら、納得がいくまで原画の色合いを変えたり、版木の彫りを微修正したり。

これができるのは、全工程を自分一人が「自画・自刻・自摺」する方法だから。

浮世絵時代の伝統は、絵師と彫師と摺師の完全な分業システム。

家造りに例えれば、設計士や大工や鳶職人のように、それぞれが固有の専門能力を活かして協業するやり方。

モノ作りのプロセスなら単能工型と多能工型、どちらを選択するかの違い。

木版画の世界でも明治末期から昭和初期に「創作版画」を目指した人々が。

従来の複製技術重視を見直し、「自画・自刻・自摺」による版画表現で、美術の一ジャンルとして認知されることを目的とした運動です。

「創作版画」を志した代表的なアーティストは山本鼎や恩地孝四郎ですが、かの竹久夢二もその一人。

思うに、どんな手法やテクニックを用いようと、大切なのは「生命力の宿った作品」が産み出されることなのでしょうか。

金木犀の香り漂う季節を迎えて、庭のハナミズキも色づき始めました。

「Something new」を探して

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待ちに待ったノーベル化学賞受賞の吉野彰さん、おめでとうございます。

旭化成時代、愛煙家の吉野さんとは喫煙スペースで時折ご一緒し、他愛もない雑談をさせてもらいました。

彼の言葉に「ムダなことを沢山しないと新しいことは生まれてこない」と。

科学の世界だけではなく、アートの世界でも同じようです。

直感を信じて仮説を立て、試行錯誤を繰り返しながら「Something new」を探し出すプロセスは一緒。

私の木版画作りにおいても毎回、ムダに終わるかも知れない「新しい試み」を続けています。

制作中の「Kingfisher in Autumn」では、「彫り進み法」に挑戦。

一枚の版木を使って、彫りと摺りを順次繰り返す技法です。

メリットは、別々に彫れば複数枚が必要な所を一枚に省け、さらには同じ版木なので図柄にズレが生じないこと。

デメリットは、彫り進んでしまうため、元の版木に後戻りできないこと。

今回は富士山とハナミズキの枝と二ヶ所で試みました。

アップした写真は、富士山の雪渓を「三段階の濃淡」で表現したものです。

樹木の枝では、微妙な「光の陰影」にトライしてみます。

明日土曜日は、台風19号が関東を直撃。被害が少なく無事に通り過ぎますように。