「17文字」の宇宙

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ドナルド・キーンさんの追悼記事です。

日本文学者としての研究対象は、近松門左衛門、井原西鶴、松尾芭蕉、三島由紀夫など幅広く。

その中から、芭蕉の「奥の細道」に関する話を。

「古池や 蛙飛び込む 水の音」。

キーンさんが英訳すると。

The ancient pond
A frog leaps in
The sound of the water.

ちなみに、小泉八雲さんの英訳は。

Old pond
frogs jumped in
sound of water.

面白いことに、蛙が「一匹か、複数か」や、「現在形か、過去形か」の違いが、如実に。

ことほど左様に、「異言語の理解」は難しく。

なおさら、芭蕉の俳句は、「耳で見て、目で聞く」という「禅的な感性」で、詠まれたものだから。

「水の音」は、単なる「耳に聞こえた音」ではなく、五感のすべてで感じる「魂の響き」。

キーンさんは、俳句の真髄を、「僅か17文字の中に、宇宙を創造することに成功している」と。

その例として、
「閑かさや 岩にしみ入る 蝉の声」を。

「iwani shimiiru semi no koe」と、子音に「i」を並べることで、「蝉の声」を暗示していると。

「miin miin miin」と鳴く「音」の繋がりが、「視覚化」された風景として、浮かび上がってくるように。

鳴きやんだ一瞬の静寂の中に、「永遠なるもの」と「刹那なるもの」を、対比させた美しさが。

キーンさんに、そう教えられて、「目から鱗」が。

たった「17文字」という短い言葉に、「五感で感じたこと」のすべてを込めて。

言葉をそぎ落とし、「結晶化された思い」を表現する芸術に。

キーンさんから授かった「貴重な教え」に、心から感謝します。

ありがとうございました。