東日本大震災の直後に、「日本人と共に生き、共に死にたい」と、移住を決意されて。
悲しみに沈む日本人に、「勇気と感動」を与えてくれたことを、今も鮮明に覚えています。
国籍取得後、鬼怒川と鳴門を組み合わせた「鬼怒鳴門」を名乗られたのことも、印象に残る出来事で。
彼の「日本愛」が伝わってくる言葉を、瀬戸内寂聴さんとの対談集「日本を、信じる」(中央公論社)から。
「古代エジプト人やギリシャ人は、不変性を求めて石を、中国のお寺の多くはレンガ造り。日本の場合、木を使う。日本人はむしろ変わることを願っているから」。
「桜は、どうしてこれほど日本人に愛されているのか。つかの間の美、三日だけの美しさだから」。
「花は散り、形あるものは壊れる。まさに無常。そこに美の在り処を見出し、美学にまで昇華されるのは日本だけで」。
う〜ん。確かに「日本人よりも、日本をよく知る外国人」と、言われるだけあって。
時は流れ、「文明開花」から「一億総懺悔」を経て、「グローバル化」への変遷。
「和魂」は忘れ去られ、「洋才」に色濃く染められて。
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)もそうですが、外国人から「古き良き日本」を、あらためて教えられるとは。
生涯をかけて、日本を愛し続けたキーンさんから、こんな「耳の痛い言葉」も。
「伝統は時々、隠れている。見えなくなる。しかし流れている。続いている。それは日本の一番の魅力です」。
「自分たちの伝統に興味がないということは、ひとつの弱点です」。
まさにその通りで。
日本人自身が、古より伝わる「文化や価値観」に誇りを持ち、大切にすること。
ドナルド・キーンさんのご冥福をお祈りし、謹んで「感謝と哀悼」の誠を捧げます。