「生きるという 悲しいことを 我はする 草木も虫も 鳥もするなり」
作者は、原因不明の難病を抱えて生きる生命科学者の柳澤桂子さん。
「私のいのち」を励ましてくれる、より大きな「いのちの源」からの声(「いのちの日記」)。
柳澤さんは、心に聴こえてくるその声を31文字の歌に。
「ラヴェンダーの 野に寝てみたい その次は 波打ち際を 歩いてみたい」
どうしようもない悲しみの中から生まれてくる歓びと希望。
柳澤さんは、歌人と言うよりも科学者であり哲学者。
私の人生観に影響を与えた一冊の本があります。
「生きて死ぬ智慧」。
あの「般若心経」を見事な現代詩に。
お聞きなさい
あなたも宇宙のなかで
粒子でできています
宇宙のなかの
ほかの粒子と一つづきです
ですから宇宙も「空」です
あなたという実体はないのです
あなたと宇宙は一つです
私の木版画の主題は、「宇宙と生命」(自然と生き物)。
柳澤さんに聴こえる、より大きな「こころの源」からの声を、版画に表現する試みです。