はや10月。日増しに秋の訪れを感じる今日この頃です。
版木を彫る手を休め空を見上げると、青空に映えるうろこ雲が。
雲を眺めていると、何かの姿に似てると感じませんか。
この雲は「ザトウクジラの親子」のよう。
この雲は「象の顔」みたい。
この雲は何だろう。
右下の獲物に噛みつこうとしている野獣かな?
ライオン?タイガー?ヒョウ?
何に見えるかは、人によって変わるのも面白い。
カエサルは言いました。
「人は皆、自分の見たいものしか見ようとしない」。
言葉を変えれば、「見たいと思っていないものは見えない」。
その通りですね。
全国を旅して作品を描いた木版画家の川瀬巴水さんは、見るものすべてが「版画の風景」に見えたそうです。
ノーベル賞の本庶佑さんもきっと、自分が見たかった「免疫機序の景色」を見ていたのでしょう。
「科学は多数決ではない。既存の概念を壊す少数派の中からこそ、新しい成果が生まれる」。
本庶さんの言葉に、パーフェクトアグリー。
サイエンスでもアートでも、そして平凡な日常の暮らしの中でも、自分が見たいものしか見えない。
うろこ雲を眺めながら、そんなことに思いを巡らしました。