只今、カワセミを題材にした作品の「彫りの作業」に取り組んでいます。夏を先取りしたトロピカル風で、夕映えの海辺に佇むアカショウビンを。
カワセミは英語でKingfisherと呼ばれるほどの「魚取り名人」。漢字では「翡翠」や「川蝉」と書き、日本では清流に住む鳥のようですが、海を猟場とする仲間もいます。
ギリシャ神話によればカワセミは海鳥。
風を鎮め海を穏やかにしてくれる瑞鳥で、「Halcyon(ハルシオン)」と言い伝えられています。この鳥は「平穏・平和・幸福」のシンボルなのです。
美しい翡翠色のカワセミは、「渓流の宝石」とも言われますが、羽毛の微細構造で光を反射する構造色です。シャボン玉と同様に、光の加減によって青や緑や紫などの様々な色合いが映し出されます。
版木の彫りの完成後、どんな色を選び組み合わせて摺り上げようか。あれこれと頭の体操をしても、実際にはやって見ないと分かりません。試行錯誤を繰り返しながら、納得できる色に辿り着くプロセス。それもまた木版画創作の楽しみです。