先日、ある大手ネットショップからイベント開催の案内メールが届きました。出展の選定基準には、先ず作品のクオリティ、次に価格、三番目に「作家の世界観」と書かれていました。
確かに作品は、作り手の世界観の表現そのものです。しかし売れることが最優先のネットショップが、これを重視するとは「新鮮な驚き」でした。
これを契機に「私は何を表現しようとしているのか」について、あらためて振り返ってみました。
シンプルで素直な答えは、「自然と生き物」の神秘的な美しさです。しかしよく考えると、これでは不十分だと気がつきます。「自然」と「生き物」は別個の対象であり、それぞれを分けて表現することもできるからです。
私のイメージは、両者が同時に存在することがマストです。生き物を包み込む神々しい自然の風景(外界)と生き物の「いのち」が発するエネルギー(内界)、この両者の同次元表現が欠かせません。主と従ではなく、どちらも主として‥‥。
このこだわりが、私の根底にある世界観に繋がっています。
この続きは次回のブログで。
Monthly Archives: 9月 2017
制作後記
「Owl in Violet」は、出来上がるまでに半年以上かかってしまいました。難渋したのは摺りの工程です。今回のベースカラーに選んだ紫は、とても難しい色だとつくづく実感しました。
紫は「暖色の赤」と「寒色の青」の中間色ですが、赤と青の微妙なバランス次第で、イメージが全く変わってしまいます。英語の表現では、赤みがかった紫をpurple、青みがかった紫をvioletと使い分けます。
試行錯誤の末に辿り着いた色は「ブルーバイオレット」。モーブにプルシャンブルーを加えて作りました。プルシャンブルーの量を少しずつ増やしながら重ね摺りを繰り返し、青紫のグラデーション表現を試みました。その結果は、作品をご覧になった方の評価にお任せします。
ちなみに紫は、可視光の中で最も周波数が高く波長が短い色。人の目には色を感知する三種類の細胞(黄色細胞、緑色細胞、青色細胞)があるそうです。そのどれがどう反応して紫を感知するのか、よく分かりませんが、紫外線との境界に接するこの色は、とても奥が深くて不思議な色です。
次の作品の標題は「Owl in Green」。緑色に取り組んでみたいと思います。