道具か、腕か?

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一昨日、上石神井の版画用品専門店「ウッドライクマツムラ」が主催する木版画技法の講習会に参加し、講師の後藤英彦さんから、ばれんの竹皮の包み直しを教えていただきました。後藤さんは日本唯一のばれん専門工房「菊英」の代表で、知る人ぞ知るこの道の第一人者です。一流の職人の「匠の技」を、直々に見せてもらえるだけでも貴重な機会ですが、ついでにかなり使い古した私の愛用ばれんの竹皮をリニューアルすることができました。
木版画の摺りには、ベタ摺りやボカシ摺り、ゴマ摺り等の多彩な技法があり、最適なばれんの選択と使い方次第で、迫力ある表現や繊細なタッチを摺り分けることができます。子供の頃に使ったばれんは数百円でしたが、プロの版画家が使う最高級の本ばれんは十数万円もします。
「弘法筆を選ばず」という諺があります。その道の達人になれば、道具の良し悪しなど問題にしないという意味ですが、同じ意味の英語の諺では、“A bad workman blames his tools” だそうです。「道具なのか腕なのか」の自問自答は、プロアマ問わずあらゆる分野で上達を目指す方々が通る道でしょう。
その答えは二者択一というよりも、「スパイラルアップする相関関係」で考えた方がよさそうです。腕が道具を使いこなす要素と、道具が腕を鍛え磨く要素が絡み合いながら、高みに向かって段階的に登り続けるイメージです。
ちなみに弘法大師は、実際には書体によって筆を使い分けたとも言われています。
当日は「道具へのこだわり」の誘惑に負けて、後藤さんの自信作である「スーパーむらさきばれん」を、思い切って購入してしまいました。只今制作中の「Owl in Violet」とネーミングも符合しており、何かのご縁を感じたのかもしれません。