「スリリングな偶然」を

http://www.biodesign-japan.com/wp-content/uploads/sites/1887/2017/06/header20170706205038_689334680.jpghttp://www.biodesign-japan.com/wp-content/uploads/sites/1887/2017/06/header20170706205038_300232485.jpg
時折、「何故、木版画なの?」と尋ねられることがあります。確かにファインアートの表現技法には多様な選択肢がある中で、どうして木版画を「好きで面白い」と感じるのでしょうか。
木版画は「自然の素材」からできた道具と材料を使って、100%の手作りで制作します。版木を彫る時のサクッ、サクッという音や木の香りが心地よく感じられ、摺りの作業では、バレンを包む竹皮の感触や和紙独特の風合いと肌理の美しさを楽しむことができます。自分も伝統的な「木の文化、紙の文化」に愛着を持つ日本人だからということでしょうか。
振り返って思うに、いわゆるアーティスト風ではなく、職人流の作業が私の好みに合うのかもしれません。木版画作りでは、宮大工や研ぎ師や染織工のような技能が求められます。ベレー帽よりも、捩り鉢巻きのスタイルが好きということでしょう。
さらにもう一つ、木版画は紙に直接描く絵画とは異なり、版木を介しての間接的な表現方法です。一枚一枚を手作りで摺り込みますが、様々な変数の組み合わせなので、その出来映えは偶然に左右されたりもします。摺り上がった紙をオモテに返して観る瞬間の「ワクワク感」や「ドキドキ感」は、作り手の醍醐味です。「スリリングな偶然」を楽しめるアート、それが木版画の魅力だと思います。