サメより怖い海の生物その1

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ダイビングの話をすると、よく「サメが怖くないか」と問われる。実はほとんどのダイバーは、サメに出会うと「今日はラッキー」と大喜びする。一昔前にスピルバーグ監督が映画化した「ジョーズ」のおかげですっかり悪者にされてしまったが、実際に人を襲うサメの種は全体の1割程度にすぎない。残り9割の「善良なサメたち」は全くもって気の毒だ。獰猛なホオジロザメやイタチザメ以外のサメであれば怖がることはない。むしろ海の中ではもっと危険な生き物に注意を要する。
最初に紹介するヒョウモンダコは、唾液に強力な神経毒テトロドトキシンを持ち、相手に噛み付いて毒を注入する。人間でも噛まれると呼吸困難に陥り、酸素不足から心停止に至る場合がある。元来は熱帯性だが、地球温暖化の影響から生息域が北方に広がり、最近では東京湾にも棲息しているとのことだ。タコが持つ高度な知性に加えて、強力な殺傷兵器まで備えたら完全無敵だろう。鮮やかなルリ色のリング紋様のタコに出会ったら、近づかないのが身のためだ。
さらに身近な海の危険生物といえばハブクラゲだ。南の海で泳げば、誰でも遭遇する可能性がある。ハブの数倍と言われる毒性を持つ刺胞の毒針に刺されると、激痛を伴い6時間後に水泡ができ12時間後に細胞壊死を引き起こす。体が半透明で目視しにくく、かなりの速さで移動するため未然に接触を防ぐことが難しい。沖縄の海水浴場では侵入防止ネットによってリスクを軽減している所もあるが、ハブクラゲによる死亡例も含む事故は毎年のように発生している。
悪名高きオニヒトデの毒棘によるアナフィラキシーショックで死亡した事例もある。ダイバーは海中でオニヒトデを見つけたら、サンゴを守るために思わず駆除したくなる。しかし余程その取り扱いに熟練していなければ、体表面にある多数の毒棘に刺されるリスクが大きい。刺された場合、治療法は速やかにポイズンリムーバーで吸引するしかない。石やナイフで細かく切り刻んでも、その破片から個体が再生するので始末に負えない。ダイバーにとって「珊瑚礁の破壊者」であるオニヒトデは憎い敵なのだが、返討ちにあっては元も子もないだろう。