生き物の命名に気遣い不要?

http://www.biodesign-japan.com/wp-content/uploads/sites/1887/2014/10/header20170228072802_937873691.jpghttp://www.biodesign-japan.com/wp-content/uploads/sites/1887/2014/10/header20170228072802_588469651.jpg
人間は内輪社会のネーミングにはかなり気遣っているが、人間以外になると全く無頓着のようだ。前回のナポレオンやオジサンは、似ている人間に例えた呼称で済まされるが、標準和名がウマヅラハギとなると如何なものか。顔付きが馬の長い顔を連想させることから「馬面のカワハギ」と命名されてしまった。英名ハンマーヘッド・シャークも同様に頭の形状から「トンカチ頭のサメ」と見立てられた命名だ。和名はシュモクザメというが、鐘を打ち鳴らす丁字型の撞木に擬したもので同じ類だ。
確かに分かり易いネーミングだが、人間社会なら明らかにタブーとされる呼び名だろう。差別用語のカテゴリーの一つに「身体的特徴や欠陥を揶揄する表現」が含まれ、例えばチビ、デブ、ハゲ等々は他者の人格を傷つけ侮蔑する言葉だ。人間以外の生き物には「人格」など存在しないのだから、そのような気遣いは不要だということか‥‥。ちなみにハンマーヘッドの頭の前面にはロレンチーニ器官という高性能センサーが装備されている。獲物が出す微弱な電気を感知できるので、砂の中に隠れているエサでも捕食可能だ。ハンマーヘッドと名付けるよりもレーダーヘッドの方が適切だろう。
2007年、日本魚類学会は9つの差別的用語を含む32種の標準和名を改名することを決めた。その中の一つが旧名イザリウオ、新名カエルアンコウだ。魚なのに泳ぎが不得意で、海底をいざるように歩くことが旧名の由来だ。実はこの魚には優れた得意技がある。以前「ダーウィンが来た」でも放映された「魚を釣る魚」なのだ。頭から生えた釣竿のような棒にエスカと呼ばれるゴカイにそっくりな擬似餌をぶら下げて、獲物を巧みにおびき寄せる。小魚がエスカを口に入れた瞬間、驚異的なスピードで喰らい付くカエルアンコウは、イザリウオなどという名前に程遠い姿だ。この魚の「イザリ」の意味は「漁り」だという説もある。いずれにしろ魚の名前でも、差別的用語に配慮しようという動きだ。もう一例、魚類学会は「バカ」も使用禁止にして、バカジャコをリュウキュウキビナゴに改名した。魚類の「バカ」はいなくなってよかったが、鳥類に未だ残る「アホウ」はどうなるのだろうか。