海に暮らす生物の特異な能力

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前回の続きで、写真は白線数の順番でハマクマノミ、クマノミ、カクレクマノミを紹介する。クマノミの英名はanemone fish。どうしてアネモネの花と名付けたのかと思っていたが、共生しているイソギンチャクが、sea anemoneだと知って得心した。共通の名前を持つクマノミとイソギンチャクは、「相利共生」のモデルケースだ。刺胞動物のイソギンチャクは、触手の刺胞で近づいてきた魚を麻痺させて餌にするが、クマノミにはその武器が通用しない。クマノミの皮膚から分泌される粘液が刺胞の毒を無害化すると言われており、この能力によってクマノミは、イソギンチャクを敵の襲撃から逃れるためのシェルターにしている。逆にイソギンチャクもメリットを得ている。クマノミは、餌になる魚を引き寄せてくれたり、時には貝を届けてくれたりもする。また移動が不自由なイソギンチャクにとって、周りを泳ぎながら海水を撹拌し、排泄物を搬出して居住環境を快適にしてくれるクマノミは、とても役に立つバートナーに違いない。
もう一つ、クマノミには種の存続のために付与された特異な能力がある。雌雄同体で性転換することだ。クマノミは全員がオスで生まれ、成長する過程で群れの中の最も体が大きい個体がメスになって産卵する。そのメスが死んだ時には、次に大きいオスの出番だ。魚類の多くが保有する特徴だが、同居する群れの状況に応じてホルモンのバランスを調整し、雌雄性をコントロールする生殖の仕組みは、実に興味深い。ヒトは受精後約7週間までは全員がオンナだが、性染色体で雌雄性が決められているため、発生初期にオトコが分化する。そうなると「ヒトの基本仕様」はオンナと言うことなので、オトコは伴侶に頭が上がらないと言う現実も、生物学的に首肯できる。