蛍は何故、一斉に光るのか?

生き物の世界には「同期現象」という不思議な力がある。スティーヴン・ストロガッツは著書「SYNC」に、無数のホタルが完璧にシンクロして光を点滅させる謎、指揮者がいなくても自然に生まれる秩序の発生メカニズムについて描いた。ホタルに限らず、カエルやコウロギの一斉唱和や魚の大群の見事な旋回運動等、生き物の集団行動は、驚くほどシンクロしている。近年、同期現象の研究は領域横断的にまとまり始め、「結合振動子」の存在が解明されつつある。光を通じてコミュニケーションを取るホタル、電流を交換し合う心臓のペースメーカー細胞等の生物振動子にとどまらず、惑星やレーザー、電子の非生物振動子まで、自律的な周期を持ち、秩序ある反復運動を生み出している。
生き物の集団の同期現象が、ホタルのように平和で美しい光景であればよいが、なまじ知恵を持った人間集団の同期現象は時折、好ましくない現実をもたらすこともあるようだ。